東京ゴーストリサーチ

ゲームの運営(タスクの処理)

4-5 社員の行動

イニシアチブを持つ社員は、1サイクルに1回、行動できます。原則として行動とはタスクの処理になります。ただし、イニシアチブを持つ社員が行動不能状態にあるときは、行動は行えず、ただちに行動済になります。

4-6 タスクの処理

タスクの処理は、次の流れで行います。

  1. 処理タスクの選択
  2. プレイングの宣言
  3. 難易度の決定
  4. ダイスロール
  5. トラブル発生の確認
  6. 処理結果の確認

4-6-1 処理タスクの選択

イニシアチブを持つ社員は、自分が処理を試みるタスクを、現在のフェイズのタスクのなかで未処理のものからひとつ選択します。

4-6-2 プレイングの宣言

イニシアチブを持つ社員は、次のことを行います。これをプレイングの宣言と呼びます。

  1. タスク解決に寄与すると思うスキルを、自分のスキルセットのなかで未使用のものからひとつ選択します。
  2. 選択したスキルと、タスクの内容を踏まえ、どのような行動を行うのか、または、どのようなシーンになると思うかを提案します。

プレイングの宣言に使用したスキルは、使用済になり、同じプロジェクトでは再び使用することはできません。選択できるスキルがない場合や、あっても選択したくない場合はスキルを選択しないこともできます。スキルを選択しなかった場合は、プレイングの宣言がなかったものとみなし、難易度の決定のプロセスに移ります。

プレイングは一種の大喜利と考えてください。しかし、なにか面白いことを言おうとすると、苦しくなってしまうので、リラックスして、なんでも思いつくことを口にしてみましょう。そのさいの、コツとヒントをお届けします。

(1)スキルは自由に解釈してよく、設定を膨らませてよい

スキルは、スキル名称を「キーワード」と捉え、内容は自由に、幅広く解釈してください。ルールブックの説明は例示ととらえ、あきらかに無関係や矛盾したものでなければ、「書かれていないことは好きに決めてよい」と考えましょう。また、スキルは想定されるものを超えて、どのように使用してもかまいません。

たとえば「除霊キット」は、「アタッシュケースに各種の聖印や儀式道具がセットされている。」と書かれています。実際になにが入っているかは好きに決めてかまいませんし、これが入っていてはダメという決まりもありません。「対吸血鬼用にニンニクが入っていた」という設定をでっちあげ、「そのニンニクを使って料理をする」というプレイングに使用しても問題ありません。あるいは、「アタッシュケースで殴りつける」として戦闘に使用してもいいでしょう。「うっかり落としてカバンが開いてしまい、しまっていた調査資料がこぼれてしまう。資料を拾ってくれた通りすがりの人が、〇〇のことを探してるんですか?と情報を教えてくれる」なんていう、ご都合プレイングもOKです。

(2)「行動」だけでなく、「シーンやイベントのアイデア」を考えてみよう

プレイングを社員の行動と捉えると、どうしても良い行動を思いつかない、どうしたらよいかわからない、ということになる場合があります。そんなときは、「スキルをキーワードにして、なにかシーンやイベントを考える」ことにしてはどうでしょうか。それもまたプレイングのひとつの形です。

スキル「外見」は「特筆すべき外見であるため、人に強い印象を残す。」と説明されていますが、要は、「外見的な特徴が原因でなにか影響をおよぼせるよ」ということです。「美人なので、好感をもたれやすい」「こわもてなので、圧をかけて話を聞き出す」というのが一般的な使い方ですが、「山道で迷った。夕日に流れる汗が光る。こんなときでさえ、〇〇の横顔は美しかった」というプレイングでもいけないということはありません。

要するにプレイングとは、「このシーンでは、このキャラのこういうところにスポットがあたるよ」という宣言だと理解するとよいでしょう。

(3)困ったときはみんなで考えよう

プレイングの宣言は、必ずそのプレイヤーが一人で行わなければならないというものでもありません。困ったときは、「どうすればいいと思う?」「どうなったら面白いかな?」と、ほかのプレイヤーやMGに聞いてみましょう。社員のスキルセットや、その他の設定を見ながら、みんなで、ワイワイ考えるのも、きっと楽しいひとときになるのではないでしょうか。

そして、最後の手段として、こういうプレイングの方法があります。

「このスキルを使います。以上」

プレイングの考案は、このゲームの、ある意味、キモですから、そこをこそ楽しんでいただきたいところです。しかし、TRPG初心者の方などで、どうしてもうまくできないときは、こうやって、あとはMGにお任せしてしまうのも、ひとつの方法かなと思います。何度かそうしているうちに、きっとプレイングが思いつくようになると思いますから、最初のうちは少しだけ甘えてみましょう。

4-6-3 難易度の決定

タスクには固有の難易度が決められています(2~10)。MGは、プレイングの宣言内容と、タスク内容を踏まえて、成功率を上下させ、最終的な難易度を決めます。ただし、難易度は最低が2で最高が10です。

■プレイングと難易度の変化
プレイング難易度の変化
とても優れたプレイング難易度-2
良いプレイング難易度-1
普通のプレイング難易度そのまま
良くないプレイング難易度+1
プレイングの宣言がない難易度+2

プレイングの評価について、MGの方が迷うことも多いでしょう。基本的には、おおらかな気持ちで、どんなプレイングでも受け入れていくのがよいと思っています。いちおう、「良くないプレイング」は難易度を上昇させるという規定はあるものの、これはセッションの秩序をコントロールするためのもの(つまり、困った人への対応のため)としましょう。

プレイングの宣言があったときに、MGが直感的に「いいんじゃない」「面白いね」と感じたなら、それは「良いプレイング」と受け取りましょう。卓全体がどっと沸くようだったら、それはきっと「とても優れたプレイング」です。

どちらでもないときは、「普通のプレイング」として、あまり悩まずに進めてしまうといいでしょう。

なにをもってプレイングの「良し悪し」を決めるかは、基本的にはMG各位の基準にお任せします。どうしても気になる、もっとはっきりした基準がほしい、という方は、以下のような考え方で見るようしてはいかがでしょうか。

●グッドショウ(good show)=参加者全員が楽しめるか

そのプレイングによって、参加者全員が楽しめるようなシーンや展開になりそうなら、それは良いプレイングです。参加者「全員」というのがポイントですよ。

●グッドアクト(good act)=キャラクターをよく表現しているか

そのプレイングが、社員の個性や魅力をうまく引き出していると思われるなら、それは良いプレイングです。ただし、グッドアクトは、グッドショウより優先されるべきではありません。そのキャラクターらしい行動でも、他の参加者が楽しめないなら、それは独りよがりの可能性があるからです。

●グッドウェイ(good way)=状況的に妥当か

シナリオ内の状況において、適切な行動を表現したプレイングは良いプレイングです。ただし、グッドウェイは、グッドショウ、グッドアクトより優先されるべきではありません。合理的な行動であっても、参加者の楽しさを阻害するようなら「ゲーム(ここでは「遊び」の意味)」としては望ましくないですし、そのキャラクターとあまりにかけ離れていたら、「ロールプレイング」である意味が薄れるでしょう。

4-6-4 ダイスロール

イニシアチブを持つ社員は、ダイスを振ります。ダイスロールの出目が、難易度の値以上であった場合、問題なくタスクは処理されます。このときは処理結果の確認のステップへ進んでください。

4-6-5 トラブル発生の確認

ダイスロールの出目が、難易度の値未満であった場合、なんらかのトラブルが発生し、多くの場合はダメージを受けます。タスクごとに規定されたトラブルの内容を確認します。特に規定がない場合、一般トラブル表を使用してトラブルの内容を決定します。

■一般トラブル表
1D10トラブルダメージ
1トラブルが生じたが、間一髪、危機を脱した。ダメージなし
2どうにかタスクを処理したが、非常に疲労してしまった。肉体ダメージ1点
3タスク処理の過程で負傷してしまった。肉体ダメージ1点
4恐怖や混乱、ストレスなどで精神の均衡を崩してしまった。精神ダメージ1点
5過去のトラウマなどを思い出し、気分が沈んでしまった。精神ダメージ1点
6自身の信用をキズつけたり、汚名を背負ってしまった。環境ダメージ1点
7会社や上司の不興を買ってしまった。環境ダメージ1点
8疲労困憊で動くこともままならない。肉体ダメージ1点+精神ダメージ1点
9負傷したうえ、会社に損害を与えてしまった。肉体ダメージ1点+環境ダメージ1点
0上司から厳しく叱責され、まずい立場になった。精神ダメージ1点+環境ダメージ1点

4-6-6 処理結果の確認

MGは、タスクに規定された処理結果を公開します。処理結果と、トラブルが発生していた場合はその内容を加味して、実際にどのようなことが起こったか、場面の演出などを行います。なお、トラブル発生の有無にかかわらず、処理結果は得られ、タスクは処理済になることに注意してください。

プレイングは良いと思うのだけど、どうやったら、この処理結果に結びつくのかわからない。シナリオを前に、そんなふうに悩むMGもいるかもしれません。

そんなときは、「みんなで考えよう」と開き直ってください。

「処理結果はこういう感じなんだけど、どういうシーンにするのがいいと思う?」と、プレイヤーのアイデアも取り入れながら、一緒につくっていきます。すべてをMGがつくらなくてもよいのです。

このとき、ストーリーの整合性には縛られないようにしましょう。

TRPGは「お話をつくるゲーム」です。しかし、一人の人間が行う創作活動ではありませんから、構成の妙や緻密な伏線を求めるのはムリがあります。ですので、ある程度の矛盾や整合性のとれないところにはこだわらないのが大切です。「みんなで楽しく遊んでいるうちに、お話のようなものができているような気がするゲーム」くらいの捉え方でいきましょう。

みんなで考えても、どうしてもうまくいかないときは、こう言ってください。

「なんやかやあって、こうなった」

楽しく悩むのはいいのですが、そうでなく、進行が止まるよりは、進めることを優先します。

一般トラブル表の結果を使うときなども、うまく状況に沿わない場合があるでしょう。そんなときも、とりあえず結果(ダメージ)だけ適用すればOKです。「通りすがりの霊のしわざで」とか言っておけば大丈夫です。