現代伝奇シェアードワールド｜メイガスソウル

メイガスソウルの世界

「異なる夜」と「魔法」の存在

この世界は「異なる夜（アナザナイト）」と呼ばれる異世界と隣接しており、その影響をつねに受けているとされています。異世界と言っても、「異なる夜」がどのような世界なのか知っているものはいません。

異なる夜の影響により、この世界の物理法則が局地的・限定的に変質することがあります。この現象を総称して「魔法」と呼びます。「魔法」は、狭義には、意図的にこの現象を引き起こすための技術体系のことでもあります。

そうです、この世界には「魔法」が存在します。

魔法は科学とは異なり、普遍的な再現性がありません。体系化された技術としての魔法も、それを使用できるものと使用できないものがいるのです。魔法を使用できる人間を「魔法使い（メイガス）」と呼びます。

メイガスとソウルレス

魔法使いであるかどうか、すなわち魔法を使えるかどうかを分かつ属人的な資質を「メイガスソウル」と呼びます。メイガスソウルとは何であるのか、その本質は解明されていません。

一方、魔法を使うことのできない人間を、メイガスソウルを持たないもの、という意味で「ソウルレス」と呼びます。あくまでも魔法使いではない、という意味合いで人を区別するときの呼称であり、魔法を使えない、という一点をのぞいて魔法使いとソウルレスに違いは見つかっていません。

生まれながらに魔法使いである人間がいる一方、非常な高齢に達してから魔法が使えるようになる人間もいるため、現在、ソウルレスとみなされている人も、まだ魔法を使えていないというだけであり、人類はすべてメイガスソウルを持っているのでは、という仮説を唱えるものもあります。

いにしえの魔法文明

かつて世界には、魔法使いたちが大勢おり、魔法を用いて高度に発達した文明が築かれていました。魔法により栄えた文明のことを「魔法文明（メガリス）」と呼びます。

オリエント地方に空に浮かぶ壮麗な都市を築き上げたといわれる「バビロンの空中帝国」、死してなお君臨する強権な王族のもと独特の文化を育んだ「エジプト闇王朝」、中国大陸で熾烈な魔法戦争を繰り返した「陰陽諸王国」、高度な魔術によりその住民は永遠の若さを保っていたとされる「常若の国ティルナノグ」……。

世界各地にさまざまな魔法文明が存在し、魔法を用いた独特の社会や文化が花開いていたのです。

しかし魔法文明が繁栄するにつれ、異なる夜のこの世界への影響が強まり、さまざまな害が発生するようになりました。そしてその先には全世界が異なる夜のパワーに汚染され、人類が滅亡する未来しかないことがわかるに至り、魔法文明の指導者たちはこの世界から魔法をなくすことに決めたのです。

多数の魔法使いが協力して、史上最大の儀式魔法「黒き歴史（ザ・クロニクル）」が使用され、全人類の記憶から魔法の知識は消え、歴史が書き換えられました。現存する人類文明は、この魔法により書き換えられた歴史の線上にあります。

「黒き歴史」により、現代の人間は魔法文明のことを正確に知ることができません。「黒き歴史」の効果をすりぬけたわずかな事実が、神話や伝説として形を変え、語り継がれるのみです。

現代の魔法使い

魔法文明は滅び、魔法が失われたました。ですが、それは完全なものではありませんでした。

異なる夜の影響をすべてとりのぞくことはできないため、現代にもメイガスソウルに目覚めて魔法を使えるようになるものはいるのです。そして「黒き歴史」をすりぬけて、魔法文明の歴史や品物、魔法の知識は細々と継承されてもいます。

現代に魔法使いとして生きるものは、人知れずその知識を伝えながら、異なる夜の影響によって発生する災厄から人々をひそかに護り続けています。それが魔法使いの使命であると考えられているからです。

その他大勢の人々は、魔法の存在を知らぬまま、この世界の日常を生きています。魔法使いと、その周辺のごく一部の人々だけが、この世界が「異なる夜」の影響による災いにひそやかにさらされていることを知っている……それが「メイガスソウル」の世界です。